【コラム】ホテルの時間
着物の種類と作法~シーン別の選び方から和装のマナー、髪型まで
今回は、主に女性の着物の種類や「格」の違い、シーン別の選び方をはじめ、和装時の作法やマナー、髪型やメイクのポイントを解説します。また、ホテル椿山荘東京の着物レンタルや着付け、ヘアメイク、緑豊かな庭園でのロケーション撮影プランについてもご紹介します。
目次
- 1.着物の種類と「格」
- 2.【シーン別】失敗しない着物の選び方
- 3.和装の作法とマナー
- 4.和装の髪型とメイクの考え方
- 5.東京で着物をまとい、伝統文化に浸るひとときを——ホテル椿山荘東京で叶える特別な体験
1.着物の種類と「格」
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着物にはさまざまな色柄があり、着用する場面や自身の立場に合わせてふさわしい「格」が決まっています。格式ある場所へ赴くときには、TPOに合った装いを選ぶことで、相手への敬意を表すことができます。ここでは、代表的な着物の種類と特徴をご紹介します。
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正礼装/準礼装
もっとも格の高い着物が「正礼装」です。未婚女性の第一礼装である「振袖」は、長い袖が華やかな着物。成人式や結婚式の参列などにぴったりです。既婚女性の第一礼装は「黒留袖」となります。黒地の着物の裾には、四季の花鳥風月や、おめでたいモチーフを図案化した伝統的な文様があしらわれ、家のしるしである「家紋」が5カ所に入っており、格式ある式典にふさわしい装いです。
留袖や振袖の次に格式が高い「準礼装」として着用できる着物には「色留袖」や「訪問着」があります。色留袖は黒以外の地色の着物に、裾にだけ文様があり、家紋の数によって格が変わります。5つ紋は正礼装、3つ紋は準礼装、1つ紋は準礼装または略礼装となります。
訪問着は、肩や衿、裾にかけて途切れずに文様が続く「絵羽模様」が特徴で、既婚・未婚を問わず着用できます。紋の有無によって格を調整できるため、幅広い場面で活躍します。
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略礼装
礼装や準礼装に比べ、少しカジュアルな場面で着用するのが「略礼装」です。
「付け下げ」は肩や袖、裾などに控えめな模様が入った着物です。カジュアルな結婚披露宴やパーティ、子どもの入学式、お茶会など、幅広く着ることができます。帯や小物の格によって装いの印象が大きく変わるため、略礼装としてはもちろん、準礼装として着用されることもあります。
「色無地」は一色で染めたシンプルな着物。家紋を付ければ準礼装、家紋がなければ略礼装、または普段着としても着ることができます。
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普段着
正礼装や準礼装、略礼装の着物は正絹やポリエステルの糸で作られていますが、普段着の着物には、正絹のほか、木綿や麻、ウールなどさまざまな素材があります。色や模様にも礼装のような明確なルールはなく、自分の好みや季節に合わせて楽しむことができます。夏祭りや花火大会で馴染みのある浴衣も、普段着のカテゴリーに含まれる着物です。
「小紋」は全体に繰り返しの細かい柄が入ったカジュアルな着物です。友人との食事や観劇など、ちょっとした外出に着用することができます。節のある糸で織る「紬(つむぎ)」も、普段着の着物として人気です。
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帯の種類と使い分け
帯は、着姿の印象を決める大切なアイテムです。正礼装や準礼装の着物には「袋帯」という長めの帯を合わせます。金糸や銀糸を使い、松竹梅や鶴亀など、縁起のいい図柄である吉祥文様や、格の高い柄を織り出したものがおすすめです。
短めの「名古屋帯」は、略礼装やおしゃれ着にも合わせやすい、軽やかな印象の帯です。よりカジュアルに普段着を楽しみたいときには、幅の狭い「半幅帯」を使います。
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小物のコーディネート
帯揚げや帯締め、草履やバッグなどの小物も、着物や帯の格に合わせて選びます。フォーマルな場では、白や金銀を基調にした礼装用のものを。カジュアルな場面なら、季節に合った色や素材を取り入れて、装いに軽やかさを添えるのもおすすめです。
2.【シーン別】失敗しない着物の選び方
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正礼装や準礼装、略礼装の着物は、「どんな場面で」「どんな立場から」「誰を祝うか」によって選び方が変わります。ここでは、お祝いの席や節目の行事など、代表的なシーンごとにふさわしい着物の選び方を紹介します。
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お宮参り/七五三
お宮参りや七五三を迎える子どもたちの服装としても、和装は人気があります。子どもの誕生や成長を祝う家族の装いは、主役である子どもを引き立てるつもりで選ぶことが基本になります。母親や祖母が着物を着る場合、淡い色合いの訪問着や付け下げ、色無地がおすすめです。統一感のある装いになるよう、事前に家族で相談しておくと安心です。
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結婚式
結婚式にふさわしい装いは、「どの立場で出席するか」によって異なります。主役の花嫁は、白無垢や色打掛などの花嫁衣装を身につけます。新郎新婦の母親は、黒留袖が基本です。親族の女性は、家紋を入れた色留袖や振袖を選びます。友人として出席する場合には、訪問着か振袖が一般的です。花嫁が身につけることの多い白や赤、金などの面積が大きい着物は避けるのが安心です。
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入学式/卒業式
大学の卒業式に出席する女子学生は、卒業袴に合わせる「小振袖」という袖の短い、卒業袴用の着物を着用するのが基本ですが、最近は振袖に袴を合わせるコーディネートが人気です。最近では、小学校の卒業式に袴姿で出席する女の子も増えています。子どもの卒業式に母親として出席する場合は、七五三などと同様、控えめな装いが求められます。入学式では春らしい色合いの訪問着や家紋の入った色無地、卒業式では落ち着いたトーンの着物を選ぶのがおすすめです。
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成人式
一生に一度の成人式は、華やかに自分らしさを表現できる日です。振袖は、柄の位置や色味によって大きく印象が変わります。自分の好みはもちろんですが、肌の色や体格に合わせて選ぶことで、理想の着姿に近づくことができます。事前に撮影スタジオやホテルで前撮りをしておけば、時間の制約もなく、成人式当日、和装で行動する予行練習にもなります。
3.和装の作法とマナー
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洋装のときとは違う立ち居振る舞いを意識することで、着物姿はぐっと上品に見えるものです。ここでは、和装で外出する際に知っておきたい作法やマナーをご紹介します。
まず、歩くときには歩幅を小さめに、膝を内側に寄せることを意識しながら歩くのがおすすめです。つま先をやや内側に向けると上品な印象になります。階段を上り下りするときには、右手で軽く裾を持ち上げると良いでしょう。車に乗るときには横向きにお尻から腰かけ、ゆっくり体を正面に向けます。
食事の際は着物を汚さないよう、膝の上にナプキンを広げるか、帯にナプキンをはさんでおくと安心です。テーブルの上に手を伸ばすときには、袖が料理につかないよう、反対の手でおさえます。椅子の背にもたれると帯結びが崩れてしまうので、背すじを伸ばして浅く腰かけましょう。
着物で写真撮影をするときには、体を少し斜めにし、左側がカメラに向くようにすると、シルエットや着物の柄が引き立ちます。室内のスタジオと、屋外の自然光の下では、着物の色や柄の見え方が変化するので、いろいろなロケーションで撮影するのもおすすめです。
4.和装の髪型とメイクの考え方
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着物に似合う髪型やメイクは、洋服のときとは少し異なります。特に格式の高い場面では、衿元をすっきりと見せる髪型や、ナチュラルなメイクを選ぶのがおすすめです。
髪型はアップスタイルを基本にすると、首筋や衿が美しく見えます。髪の長い方は、「夜会巻き」やシニヨンなどのまとめ髪がおすすめです。ショートヘアの方は、ウィッグや髪飾りを使うと華やかな印象になります。季節の花やつまみ細工などの飾りは、和装に馴染みやすいでしょう。
着物に合うメイクの基本は、自然な艶と質感です。ベースメイクは厚塗りしすぎず、洋装のときよりも光沢を抑えて仕上げると着物に馴染みやすくなります。眉はくっきりと描き、目尻は「切れ長」を意識すると良いでしょう。ふだん、ナチュラルカラーのリップを使っている方はいつもより明るい色を選ぶと、着物の華やかさとのバランスがとりやすくなります。フォーマルな場面では、和装に精通した美容師にヘアメイクを任せると、より安心です。
5.東京で着物をまとい、伝統文化に浸るひとときを——ホテル椿山荘東京で叶える特別な体験
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東京・文京区の都心にありながら、、四季の移ろいを感じられる広大な庭園を有するホテル椿山荘東京。着物をまとい、日本の伝統文化に触れる上質な時間をお過ごしいただけます。
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なかでも人気を集めているのが、国登録有形文化財の茶室「残月」で行われる茶道体験です。
静謐な空気に包まれた茶室で、茶の湯の所作やおもてなしの心に触れるひとときは、国内外のゲストから高い評価をいただいています。英語・中国語での案内にも対応しており、海外からの大切なお客様をご案内する場としても最適です。
着物での参加をご希望の場合は、館内で着付けの手配が可能ですのでご予約時にご相談ください。伝統文化に親しむ体験を、より深く味わっていただけるでしょう。
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着物レンタルや着付け、ヘアメイクも館内で完結
成人式や卒業式など人生の節目に、また、パーティや同窓会など大切な仲間との集まりに着物を着てみたいけれど、保管スペースやお手入れの手間が気になるという方は少なくありません。そんなときには、必要なときにTPOに合った着物を借りることができるレンタルサービスがおすすめです。
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ホテル椿山荘東京の館内にある美容室では、着付けとヘアメイクのご予約も承っています。プロによる着付けは着崩れの心配が少なく、経験豊富なスタッフが和装に合った髪型やメイクを提案してくれる点も、大きなメリットです。
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庭園を背景にした写真撮影で、思い出を美しいかたちに
館内のフォトスタジオ「ビジュアライフ」では、和の趣あふれる庭園を背景にしたロケーション撮影が人気です。お宮参りやお食い初め、七五三など、着物で迎える記念日を写真に残してみてはいかがでしょうか。成人式の前撮りや、フォトウェディングプランも人気です
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和の魅力に包まれる、ホテル椿山荘東京でのひととき着物での装い、文化財の茶室での茶道、庭園での記念撮影など、ホテル椿山荘東京では、日本の伝統美を多面的に体験できる時間をご用意しています。
海外からのゲストをご案内したい方はもちろん、日本の文化に改めて触れたい方にもおすすめです。衣・食・住・自然が調和した上質な空間で、心に残る特別なひとときをお過ごしください。
特別な日も、何気ない日も。四季のうつろいに心を寄せ、着物で過ごすひとときを楽しんでみませんか?
(※2025年12月現在の情報です。記載の内容につきましては、予告なしに変更になる場合がございますので、ご了承くださいませ。)






