THE INTERVIEW
No.10
2021夏号
その季節に体が求めるものを、
とびきりのおいしさで
ホテル椿山荘東京 中国料理料理長
川嶋 正行さん
私が中国料理への道を決めたのは、高校卒業の頃。祖母の三回忌で訪れた料理店ではじめて「獅子頭」を味わい、あまりのおいしさに感激したのがきっかけです。厳しい修業中も、このときの「こんなおいしい料理を自分の手で作りたい」という気持ちが、私を支える原動力でした。
2000年にフォーシーズンズホテル椿山荘 東京(現・ホテル椿山荘東京)の中国料理「釣魚台養源斎」(2005年営業終了)に入店。ここで中国の国賓館から招聘された特級調理師たちに、国賓をもてなすための最高位の料理を学びました。料理のおいしさはスープで決まりますが、今、私の料理のベースとなっているのは、このときに習得したスープです。約3日をかけ、じっくり煮立ててゆっくりと冷ます作業を繰り返し、クリアな清湯(チンタン)に仕上げています。
私は国際薬膳調理師・中華営養薬膳師でもありますが、薬膳の考え方とは土地の自然にある食材を用い、その季節に体が求めるものを、おいしく味わいながら補っていただくというもの。例えば夏であれば、フカヒレと冬瓜やカニ、エビなどを組み合わせた料理で、お客様に滋養をつけていただきたいですね。スッポンや烏骨鶏のコラーゲンがたっぷり抽出された薬膳スープもおすすめです。
また、2021年2月から月1回の限定発売をしている「特大シュウマイ」も、おかげさまでご好評をいただいています。私が一つ一つ手作りしているもので、食べたときのむっちりとした弾力と旨味を楽しんでいただくために、水分の多い野菜を入れず、エビと豚肉をたっぷり使っています。大きめで食べ応えもありますので、ぜひ一度、味わってみてください。
Written by Sayoko Kimura